相 続 Q&A9
相続人欠如の遺産分割協議の有効性
遺産分割協議後に新しく相続人がでてきた
相続についての法律手続やよくあるトラブルや疑問に具体事例を用いてわかりやすく解説します。
相続人を欠如してなされた遺産分割協議は有効か?
遺産分割協議後に新しく相続人が認定された場合どうなるか?
遺産分割協議が無効の場合は?
具体的に個別の財産を挙げて範囲についてわかりやすく解説します。
相続Q&A>Q&A9
Q9
私(A)の父が亡くなり、相続人である私の母(B子)と妹(C
子)の間で遺産分割協議を行い、遺産を分割したのですが、その
後、父の娘だと名乗る者(D子)が現れ、自分の権利の主張をし
ました。
調べてみると、父の(D子に対して自分の子であると)認知した
事実が判明しました。
この場合、再度遺産分割をやりなおさなければならないのでしょ
うか?
A9
この事例のケースでは、相続人であることの根拠である「認知」の事実がいつ発生したのか により、結論が異なりますので、2つに分けて考えましょう。
認知が被相続人(父)の生前になされていた場合
この場合、D子さんは相続人であることは明白ですから、Aさんら相続人が行った遺産分割協議は無効となります。
よって、法定相続分で(B子さん1/2、Aさん1/6、C子さん1/6、D子さん1/6 ※1)相続するか D子さんも協議に参加して再度遺産分割協議を行う必要があります。
※1 D子さんについて非嫡出子であった場合でも嫡出子であっても、平成25年9月4日最高裁判決に基づいて相続分は同等と判断して相続分を 算定しています。
認知が被相続人(父)の死後になされた場合
認知が被相続人の死後になされた場合、つまり死後認知の判決や生前提起した認知訴訟の判決が被相続人の死後、確定した場合等には、D子さんは、遺産分割の無効や再分割を主張することはできず、他の共同相続人(Aさん、B子さん、C子さん)に対して価額賠償のみを請求することができます(民法910条)
例 D子さんの相続分を価額で換算した場合、500万円であった場合は、他の共同相続人らに対して500万円請求できるということになります。
遺産分割協議後に相続人が新たに判明したその他の場合
相続人の一人が行方不明であったために失踪宣告を受けた者が遺産分割協議後に 行方が判明し、失踪宣告が取り消された場合はその相続人は遺産分割で遺産を受けた者に対してその者が現に利益をうけている限度で返還を請求することができます。
現に利益を受けている限度というのは、例えば、遺産を分割協議により受けた者が遺産を浪費した場合には返還を免れるということです。
(例:現金を遺産として取得した者が競馬や競輪で現金を消費してしまったというような場合です)
遺産分割協議の意義や「遺産分割協議のこんなときどうする?」その他遺産分割について詳しく解説しています。
「遺産分割」をご覧下さい。
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相続とは
相続とは、亡くなった方(被相続人といいます)の財産や権利・義務について承継することです。財産等を承継する人(相続人といいます)は、民法で定められています。
被相続人の一身に専属したものは相続財産に含まれません(民法896条)
相続において(場合によって)必要となる各種法律手続や用語については「相続手続」をご覧下さい。
相続の流れについては「相続の流れ」をご覧下さい。
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