調停手続 審判手続

                  

調停 ・審判

調停

調停とは

調停とは裁判所の調停委員が,紛争の間に入り、話し合いをすすめ,適正・妥当な解決を図る制度です。

調停の種類

調停には民事調停(通常の民事事件について相手方と話し合う制度です)、特定調停(貸金業者からの借り入れ、訪問販売・通信販売でのローン等について債権者と話し合う制度です。)家事調停(家庭の中での争い、夫婦間・親族間の争い、相続、離婚、親子関係等について話し合います)があります。

審判

審判とは
審判とは家庭裁判所が家庭に関する事件において、訴訟手続きによらず、家事審判法に基づいて行う裁判手続き、裁判官が家事審判官として非公開で行う手続きです。
家庭裁判所に申し立てます。
家庭に関する事件のなかで特定の事件(遺産分割、相続、親権等)は、原則として裁判の前に調停を経由しなければなりません。(調停前置主義 家事事件手続法272条)

調停手続きから審判手続きへの流れ

1 家庭裁判所への申立て

 家庭裁判所に対して必要書類を準備して申立てをします。
管轄は、原則相手方(例:遺産分割の争いでの紛争の相手方)の所在する地域の管轄の家庭裁判所です。

2 調停開始

  家事審判官(裁判官)の前で調停委員が双方の合意点を探りながら、話し合いを進めます。最終的に双方の合意を目指します。

3 調停終了

 双方が合意に至ったら、調停調書が作成されます。
調停調書は、判決と同様に公的な効力があります。
(判決の効力は確定したら原則同じ争いを訴えることはできなくなり、民事執行手続きを申し立てることにより強制力を有する根拠となります。)  

双方が合意に至らない場合(又は相手方が欠席した場合)は調停不成立となり調停事件は終了します。
調停が不成立で終了した場合は原則自動的に審判手続きに移行します。

家事事件手続法272条4項で「調停申立時に家事審判の申立があったものとみなす」と規定されています
なお,離婚調停の場合は,原則自動的に審判移行はされず、手続きが終了します。
(特殊な場合に家事審判官が職権で「調停に代わる審判」がなされることがあります。)

離婚調停が不成立で終了した場合は、当事者が離婚請求訴訟を(家庭裁判所に対して)提起できることになります。

4 審判

家事審判官が当事者の事情、紛争の原因等を考慮して、審判をします。
審判書が作成されます。
審判は、判決と同様の効力があります。
(判決の効力は確定したら原則同じ争いを訴えることはできなくなり、民事執行手続きを申し立てることにより強制力を有する根拠となります。)  

5 不服申し立て

審判に不服がある場合は、管轄の高等裁判所に「即時抗告」を申し立てることができます。

相手が調停に欠席した場合

相手方が調停期日に欠席し、調停委員会が調停成立見込みが無いと判断すると 調停事件は終了します。(家事事件手続法272条1項)

特定の事件(別表2に列挙されている事件、相続事件や遺産分割、親権、婚姻費用の紛争等)の場合は、調停申立ての時に家事審判申立てがあったものとみなすことになる(家事事件手続法272条4項)ので自動的に審判手続きに移行されますが、別表2以外の事件(離婚請求等)は、調停が終了し、審判への移行はありません。

離婚調停の場合 相手方が欠席するとどうなる?

具体的に離婚調停で相手が欠席した場合の手続きの流れを見ていきましょう。

離婚調停の場合は、調停が不成立の場合は自動的に審判手続きに移行されません。

相手方欠席の場合は調停不成立になる場合と取り下げを勧められるケースがあります。
相手方が、話しあいに応じない意思を明確にしている場合、(手紙や電話の記録等で客観的にわかる場合)原則調停不成立となります。(必ずしもそうならない場合もある)
相手方が単純に欠席した場合は、状況に応じて取り下げを勧められる場合もあり、不成立となる場合もあります。

調停前置主義の事件の提訴条件
調停前置主義(提訴する前に調停をすることが定められていること)対象の事件は、提訴 する場合に調停が成立しなかったことを証明しなければなりません。具体的には調停不成立証明書や調停不成立謄本を添付します。

取下げの場合は、調停がなされていないことになるので、原則提訴はできませんが、 調停で話しあった実態があれば、取下げ証明書や事件終了証明書を提出して、提訴が認められる場合があります。

参考条文 家事事件手続法272条
1 調停委員会は、当事者間に合意(第二百七十七条第一項第一号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。ただし、家庭裁判所が第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。

2  前項の規定により家事調停事件が終了したときは、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。

3  当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。

4  第一項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。

こういう場合に調停を申し立てる利益があります

 相手方が話し合いのテーブルについてくれない。

紛争の相手方や例えば、遺産分割協議のように、相続人全員が協議しないと(相続人が一人でも欠けると)有効に成立しない性質の協議において、 参加相続人が話し合い自体を拒絶している場合、遺産分割協議ができなくなります。

その場合に、遺産分割調停の申立てをすることにより、有効な遺産分割協議ができます。
相手方が調停の期日に欠席する場合は、調停が不成立となり、審判手続きに移行することにより、遺産分割協議について裁判所が法的効力のある審判を出すことにより、(有効に成立しない)遺産分割に対して一定の解決が図れることになります。

 相手方との話し合いが平行線で合意に至らない

相手方との話し合いによっても議論が平行線で一向に合意に至らない場合は、公平な立場である裁判所に一定の事項を決めてもらうことを求めることも解決にむけてのひとつの選択肢となります。

調停前置主義により、審判を申し立てる前に調停を申し立てなければなりません。
裁判所が審判をした場合は、法的効力があるので、双方、拘束されます。
よって、何も決まらない状態を打開することに利益があります。

こういう場合に調停を申し立てることはできません

 相手方が行方不明で、所在地が判明しない場合

相手方がの所在がわからなくて、連絡が取れない場合は、原則調停の申立はできません。
遺産分割協議を行いたい場合に相続人の中に行方不明者がいる場合は、家庭裁判所に「不在者の財産管理人」の選任の申立をしなければなりません。

「不在者の財産管理人」が不在者の代わりに遺産分割協議を行い、有効な遺産分割協議が成立します。
尚、不在者財産管理人が遺産分割の調停や協議を行うためには,家庭裁判所の許可が必要になります。

また、行方不明者の生死不明の期間が一定の期間を経過している場合には、「失踪宣告」の申立をすることができます。
家庭裁判所が失踪宣告の申立を受理して、失踪宣告の審判をすることにより、法律上、宣告された者は死亡したものとみなすことになります。

失踪した者の相続人が遺産分割協議に参加して有効な遺産分割協議を行うことができます。

           

調停を申し立てる場合の具体事例

 遺産分割協議

 Aさんは、父が生前、父と同居していた父名義の家について父の死後にAさんに相続させると話していましたが、遺言書は作りませんでした。
父が亡くなり、父の遺した遺産について相続人間で話し合いをしようと各相続人に連絡をとりましたが、相続人のBさんは話し合いのテーブルについてくれず、訪問しても玄関を開けてくれません。

この状態では、現在自分が住んでいる家の権利も確定されない状態です。(相続人の共有財産となります)
Aさんは、司法書士のアドバイスをうけ、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てました。

調停期日にBさんは欠席しました。
(調停の期日に相手方が欠席すると話し合いが行われないので、調停は不成立となります。)

調停手続きは終了し、自動的に審判手続きに移行されます。
家事審判官が、(相手方が審判に欠席しても)相続人間の状況、総合的に事情等を考慮し、 「当該不動産(Aさんが住んでいる家)はAさんが相続するという審判をしました。

審判が確定して、Aさんは、自分が元住んでいた父名義の家を相続し、現在安心して住んでいます。

           

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相談事例

遺産分割
遺産分割後に新しく相続人がでてきた
相続人中に行方不明者がいる
遺産分割協議で、相続人間で話し合いが平行線だ
相続人中に認知症の者や未成年がいる

上記の相談事例について「遺産分割」で解決へのイントロダクションとしての流れの説明をしています。
また、遺産分割についての具体的相談事例の解説や解決に向けての手順を説明しています。是非、ご覧下さい。

類似の相談事例について「相続Q&A」で具体的解決事例を解説しています。是非、ごらんください。

           

           

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司法書士の紹介

四万十市中村(旧中村市)出身の司法書士です。
出生から高校まで、四万十市(中村)で在住しました。
その後、30年以上県外で在住しました。
平成11年司法書士になり、金融業務や不動産業務に就業し、
平成19年東京司法書士会で司法書士の開業登録をしました。
平成27年暮れに出身の四万十市(中村)に帰郷しました。
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